アラサークライシス×アラサーリライズ

危機がチャンスに変わる108の物語

#振りをする私(第3話)

 前回のお話はこちら

bakufu-fu.hatenablog.jp

 

#振りをする私

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友達からはそんな忙しいなんて大変だねとよく言われる。

「えー全然忙しくないよー。」と余裕たっぷりに答える。

ほんとはヘトヘトだけど。

仕事ができない人だと思われたくないから

忙しいなんて口が裂けても言えない。

 

私は仕事のできる

誰からも憧れられる女性になりたいのだ。

 

プライベートは友達とランチをして

彼氏と素敵な夜を過ごす。

 

どんなに疲れていても

誘いは断らない。

 

最近周りから、結婚はいつするの?

とよく聞かれるようになった。

 

「えー結婚とか今は全然考えてないですよー。」

と答える。

実は今の彼氏と結婚することには不安がある。

どこかで私が窮屈さを感じているからだ。

 

周りは結婚ラッシュが来ている。

もちろんそんなことは気にしない

振りをしている。

 

 

ある日。

仕事でミスをしてしまった。

送ったはずの重要な書類が先方に届いてなかったのだ。

先方にすごい勢いで電話で怒られる上司。

私は上司に二度とこんなことのないようにと叱責された。 

(みんなの前でしなくてもいいのに。。)

きりっとした私の表情が少し歪んだ。

 

23時に帰宅。

気分がめっきり落ち込んでしまって、なかなか持ち直してくれない。

読書も今日はする気にはなれなかった。

携帯をおもむろに手に取る。

彼氏の番号を探し出した手が勝手に止まった。

 

彼氏には電話できない。

なぜなら彼に見せてる私はいつも元気な私だから。

 

たくさんの友達がいるように見える私は実は

本音で話せる友達は1人もいなかった。

 

(いろいろ我慢してがんばって来たんだね。)

 

茶店で出会った女性の言葉がふっと頭をよぎった。

涙が溢れてきてとまらなかった。

 

 

次の日。

土曜日、今日は完全に休み。

私は路地裏の喫茶店の扉の前にいた。

いきおいよく扉を開ける。

 

 

そこに彼女の姿はなかった。